ホームシアターについて最近思うこと
映画館のような、それなりの広さがありかつ壁等の材質も含め建築物自体の音響環境からしっかりと構築できる場所ならともかく、日本の家庭の普通の一般的な部屋レベルでは、5.1chよりも上のサラウンド(例えば、7.1chとか、Atmosのような3Dサラウンド)が、本当に必要なのか疑問に思うようになってきました。
なんか、高機能高性能のホームシアターが、単なる音のこけおどしにしか思えなくなってきまして。初めて聴いたときはともかく、今ではホームシアターではヴァーチャル5.1chで十分、とさえ思えてきました。少なくともホームシアターレベルでは、 Atmosのような3Dサラウンドはいらないな、と。
映画コンテンツ企業とAV機器メーカーがただ先走っているだけ、と考えてしまうのは、私だけでしょうか?
購入してから数ヶ月たちました。
YAS-207を購入してから数ヶ月たちました。
これまで、TV、DVD(ブルーレイディスクも)、いろいろ見ましたが、現在以下の感想を持っています。
①YAS-207に限った話ではありませんが、液晶テレビ自体の音に不満足の方には、金銭的にも大きさ的にもお手頃なサウンドバーはおすすめです。そしてYAS-207は、「サウンドバーとしては」申し分ありません(もっとも最近はTV自体の音も昔に比べれば良くなりましたが。)。
②(ヴァーチャル)サラウンドを期待すると、多少裏切られた感を持ってしまいます。いわゆる5.1chサラウンドとしては弱いですし、またdts Virtual:Xによる3D音には、過度の期待をしてはいけません。
本格的なサラウンドを楽しみたいなら、金、時間、手間をかけて、しっかり調整された、リアルスピーカーシステムによるリアルサラウンドのシステムを構築されることをおすすめします(Dolby Atmosやdts:Xについてもです。音を反射させて効果をだすようなイネーブルドスピーカーの類もあまりおすすめしません。)。
とはいえ、それでも、TV自体の音よりははるかにYAS-207の音はマシだと思います。ちなみにYAS-207の設定は、ステレオよりはサラウンドにして聞く方がいいと私は思います。
③低音(サブウーファー)は申し分ありません。サブウーファーの再生周波数が比較的高めなことにより、男性の低い声がサブウーファーから聞こえる、とおっしゃる方がいらっしゃるようです。そうなのかもしれませんが、今のところ私にはそれは感じられませんでした。私の耳がおかしいのでしょうか?
④調整が不用で、接続して使うだけ、というのが、YAS-207のメリットであり、またデメリットでもあります。いじる箇所が少ないのは楽ですが、同時に物足りなさを感じます。
個人的には、YAS-207の音には慣れが必要な気がしています。購入してから数ヶ月たった現在、ようやくYAS-207の音に慣れたのではないか、なんて思っています。
あと、コンテンツ(映画作品、TV番組)によって、サラウンドの効果がまちまちであることを付け加えて書いておきます。
あくまで個人的な感想です。
映画コンテンツは、作品によってサラウンドの効果に差があります。サラウンドの意味がほとんどないものもあります。
音楽ライブDVD(ブルーレイ)はなかなかだと思います。
テレビのスポーツ中継は、ヴァーチャルサラウンドでもなかなかいい感じに思えます。
TVドラマはまあまあそれなり、という感じでしょうか。もっとも、大抵はステレオをサラウンドにした擬似サラウンドになります。
その他バラエティー番組等も同様で、効果が低いように思います。
音楽番組もものによります。特にライブものは、コンテンツによって差が大きいような気がします。
いろいろな映画DVDやBDを見まして
YAS-207を買ってから、いろいろな映画DVDやBDを見ました。
スターウォーズ エピソードⅠ〜Ⅷやローグワン
スタートレックBEYOND
英雄(HERO)
Ghost In The Shell(海外実写のやつです)
レッドクリフ part1〜2
ターミネーター Ⅰ〜ジェニシス
etc
どの作品も、それなりにサラウンド効果があります。
この中で、私がサウンド的にダントツにおすすめなのは、
です。流石、アカデミー音響部門受賞作。
他の作品も、その作品なりのサラウンド効果はあるのです。悪くはないんですよ。当然映画としては面白い。
ただ、私の持っているDVD/BDレコーダーとYAS-207の組み合わせで、私が見た(というか聴いた)限りでは、サウンド的にはグラディエーターがオススメなのです。
別な書き方をすれば、私のシステムは、LPCM、MPEG2 AAC、Dolby Digital、dtsの5.1chしか対応できませんので、これで見る(聴く)ならグラディエーターが一番、ということです。Dolby trueHD、dts HD MasterAudio、Dolby Atmosで見たら(聴いたら)、別の映画を選ぶかもしれません。
また、作品によって、サラウンドミキシングが違うように感じました。私には、グラディエーターのサラウンドミキシングが一番に感じたのです。
あっ、邦画がないな(笑)。
ブルーレイディスク「AKIRA」について
まず、あらためて申し上げますと、YAS-207(以下、207)ではDolby trueHD(以下、 true HD)(の音声信号)を楽しむことはできません。このフォーマットを持っていないので対応できないからです。
ただ、207のマニュアルを読むと、どうやら207自体は、再生機器からのHDMI経由 での192KHzサンプリング/24ビットまでの音声信号は入力できるみたいです。しかし、Dolby Digital(以下、 DD)フォーマットでは192kHzサンプリングの音声など見たことありません。また仮にそれが DDでできるとしても、207のアンプ部とスピーカー部の性能では、そのサンプリングレート通りの音声再生はできないはずです。207自体が192kHzサンプリングの音声を再生できる仕様ではないはずです。
さらに、私のブルーレイレコーダーでは、true HDフォーマットを持っていて再生対応はするものの、どうやら192KHzサンプリング/24ビットには非対応、96KHzサンプリングの信号までしか対応していないようです(実際には、ダウンコンバート(?)処理されるみたいで、48KHzサンプリングの信号として扱われるようです。)。
何が言いたいのか、つまり私の持つブルーレイレコーダーと207でのシステムでは、ブルーレイディスク「AKIRA」の驚異的仕様である、「true HDの192KHzサンプリング/24ビットでの5.1サラウンド」は楽しめない、ということです。私のシステムでは、 なぜかDDの2ch信号にまでダウンされて処理されてしまうようです。
そもそも、この仕様を完全再現できる、ブルーレイプレーヤー、アンプ、スピーカーのシステムを持つ人がどのくらいいるのでしょうか(仮にプレーヤーやアンプがこの仕様を再現できても、スピーカー自体が非可聴な高周波数をだすことができるスーパーツイーターを持ったものでないとダメでしょうね。)。
この音声信号の仕様、「true HDの192KHzサンプリング/24ビットでの5.1サラウンド」を売りにしている、ブルーレイディスク「AKIRA」ですが、しかしこの仕様を完全再現できなければそれは意味ありません。その点で、ある意味残念なブルーレイディスクです。
ブルーレイ「AKIRA」の「true HDの192KHzサンプリング/24ビットでの5.1サラウンド」がスペック通りに再生されない問題は、このブルーレイが発売された当時ではまだこの仕様をその通りに再生できるシステムがほとんどなかったため、機器は対応できずいろいろなトラブルをおこしたようで、その当時ではそれなりに有名な問題だったようです。メーカーもこのことを認識していたようで、以後対応できる機器をだしてきて、現在では、「true HDの192KHzサンプリング/24ビットでの5.1サラウンド」をこのスペック通りに再生できる機器(システム)はかなり増えたみたいです。
で、今回、私のシステムでも同様の問題がおきました。ブルーレイ「AKIRA」の「true HDの192KHzサンプリング/24ビットでの5.1サラウンド」は、私のシステム(前述の再生機器&YAS-207)では、DDのなぜか「2ch」の信号で受けてしまいました。DDでも2chですから、207をサラウンドモードにすると、2 chに対しては207はDolby PrologicⅡ(以下、DPLⅡ)が作動してマトリクス5.1サラウンドとして再生します。そのように207のLEDもつきました。以上、サラウンド時に207において DD(緑色インジケート)とDPLの両方のLEDが同時にインジケートするという現象がおきた顛末です。最初は、どういうことかわからず、ネットで調べまくって、それでなんとか状況が理解できたかな、という感じです。
そうそう、「AKIRA 」ブルーレイには英語音声でもtrueHDを楽しめるのですが、こちらではDPLのLEDはつかなかったんです。おそらく、こちらは低いサンプリング周波数/ビットレートなので、 2chにはならずにすんだのではないかと思います。
それから、ブルーレイ「AKIRA」には、さらにリニア PCMステレオ信号があります。これにもサラウンド時、207のDPLⅡのLEDがつきました。これはどうやら単純なステレオ→サラウンド化ではないようです。映画上映当時の5.1Dolby Surround( DDではありません。以下、DS)信号をDPLⅡでステレオ信号にマトリクスエンコードしているようです。これにより、207では、この信号を、ステレオ再生でも、DPLⅡデコーディングによる5.1DS再生でも、どちらでも楽しむことができます。
昔のアニメのブルーレイでは、こういう音声仕様のものが多かったようです(現在もわずかながらあるようです。)。おそらく、かつてはサラウンド対応機器が現在のように普及していなかったのではないでしょうか。それで、ステレオにも、上映時のDSにも、 DDにも、どれにでも対応できるようにした、ということなのでしょう。現在は、少なくとも DD5.1サラウンドはかなり普及していると思いますので、もはや不用のスペックですね。
いや、いまだに2chのものがアニメには少なくない。そうか、アニメはTV放送が前提なんだろう。だからほとんどのアニメが基本2ch LPCMなんでしょうね、きっと。
まあ、ブルーレイ「AKIRA」には、5.1ch DDもあります。私のシステムでは、これで楽しむのがベスト、という当たり前の結果に結局落ち着きました(笑)。
機会があれば、この「true HDの192KHzサンプリング/24ビットでの5.1サラウンド」というオバケスペックを体験してみたいものです。
本当にYAS-207は2ch信号にも擬似3Dサラウンドは対応します
5月11日、日本テレビの金曜ロードショーで、映画パシフィック・リムが放送されました。私はそれを録画しておき、先日ようやく見ました。もう3週間ほどたってます(笑)。
録画を見る時、レコーダーとTVにつないでいたYAS-207は擬似3Dサラウンドに設定していました。で録画を見ていたら、本当にちゃんと3Dサラウンドを感じたんですよ。そういう機能だから当たり前ですけどね(笑)。2ch(ステレオ)信号にも擬似3Dサラウンド機能は作動し対応しているのは間違いありません。実感できました。
念のため日本テレビにも電話して重ねて確認しました。間違いなくパシフィック・リムはステレオで放送されました。わざわざサラウンドと表記しない限りは、地上デジタル放送は基本2ch、ステレオ(ごく一部の番組はモノラル)放送です。サラウンドではありません。金曜ロードショーもそれは同じで、ごくまれにサラウンド放送をしたことがありましたが、基本ステレオ放送です。サラウンドではありません。
ですから仕様どおり、YAS-207は、(録画した)地上デジタルTV放送のステレオ音声信号から擬似的に3Dサラウンドを作りこれを再生した、ことになります。そして、どうやらこれにはDolby PrologicⅡはからんでいないようで、ステレオ信号から直接擬似3Dサラウンド信号にしているようです(なお、普通のサラウンドモードでは、Dolby PrologicⅡはちゃんと作動します。)。これも一種のアップミックス機能ですかね。すごいぞ、YAS-207。
ただ、残念ながら、後背部のサラウンド感はほとんど感じることができませんでした。擬似3Dサラウンドの限界、というよりは、YAS-207自体の本来の(仮想、擬似両方の意味での)ヴァーチャルサラウンド性能の限界なのでしょう。しかし、それ以外の部分では3Dサラウンド感を感じました。特に前方上方部は比較的強く3Dサラウンド感を感じました。
場面でいえば、特に最初の部分での、「イェーガーと怪獣が戦うシーン」「怪獣にやられたイェーガーが突然通りすがりのおじいさんと孫の前に現れて崩れ倒れるシーン」は、個人的にはかなりリアルな3Dサラウンド感でした。大きな図体のイェーガーに見合った迫力のある音です。TVがもっと大きかったら、映像面の迫力が加わり、さらにど迫力だったことでしょう。
もとの音声信号がサラウンドでなく2ch(ステレオ)でも、YAS-207ならば擬似的ですが3Dサラウンドを楽しむことはできる、というふれこみは間違いないようです。YAS-207の3Dサラウンド、いろいろ楽しめそうです。
なお、念のため書きますが、YAS-207の擬似3Dサラウンドは、Dolby Atmosやdts: Xにおける3Dサラウンドとは違いますので、混同しないでくださいね。また、2ch音声の擬似3Dサラウンド化は、音像の定位感と移動感についてはそれなりのものにはなってしまうことを付け加えます。
それでもそれなりに擬似3Dサラウンドを楽しむことができるのですから、YAS-207はやはりたいしたものだと思います。
「擬似」と「仮想」の違い
このブログで、私は「擬似」サラウンドと、「仮想」サラウンドと、言葉を使いわけています。時々意識せず混同しているかもしれませんが、基本的に下記のように使いわけています。御理解お願いいたします。
●「擬似」サラウンド
例えば、もともと2ch(ステレオ)の音声信号を5.1chサラウンドにする、5.1chサラウンドを7.1chサラウンドにする、というような、もとの信号からchを増やしていく形で仕様を変える場合を、私は「擬似」と表現します。
YAS-207について、私は、Dolby Prologicによるサラウンドや、dts:Virtual X技術を使って実現した3Dサラウンドも、「擬似」と表現します。
●「仮想」サラウンド
例えば、機器の物理的(ハード的)なシステムは2chなのに、ブルーレイディスクそのものはDolby Digitalにせよdtsにせよ何にせよマルチchの仕様、だとします。この仕様を物理的に2chのシステムで再現している、このような場合を私は「仮想」と表現しています。
YAS-207については、物理的には2.1ch(ステレオプラスサブウーファー)でしかないシステムであるのに、5.1サラウンドを実現しているのです。これを私は「仮想」と表現します。YAS-207は、存在していないサラウンドスピーカーが、あたかも存在するかのように5.1chサラウンドを実現させています。
私が考える、「擬似」と「仮想」の違い、おわかりいただけましたでしょうか。
HDMI、接続する再生機器、そしてYAS-207
ウィキペディアでHDMIを調べると、以下の通りのことが記載されていました。長所として、「HDMI は接続する機器同士がお互いを認識するインテリジェント機能を持ってい」て、これにより「これら機器間の連携のための制御信号をHDMI ケーブルを通してお互いに送ることができる」のだそうです。5.1ch対応のAVアンプならプレーヤーはそれを認識して5.1chで出力し、7.1ch対応なら7.1chで出力、するということでしょう。これはいわゆるCECのことでしょうか?CECは電源オンオフのリンク程度のものかと思ってましたが、どうやら違うようです。
私が持っている再生機器(CATV チューナー兼デジタルレコーダー)を販売したCATV 会社の方はこうおっしゃってました。「再生機器が音声を、7.1chで出力するか、5.1chで出力するか、ステレオで出力するかは、HDMI ケーブルを通して接続するオーディオ機器(アンプ、サウンドバー等)から送られてくる機器情報に従って出力される」と。
また、YAMAHAの方はこうおっしゃってました。「接続する再生機器に対して、YAS-207は、ステレオか5.1chしかどちらかの信号を受信する旨の機器情報を、HDMI ケーブルを通して再生機器に送っていて、これにあわせて再生機器は出力信号をだしてくれる(ただし、このやりとりに対応しない再生機器もあるらしい)。」と。
以上のことから考えると、「HDMI ケーブルを通してYAS-207から情報を得た再生機器は、ステレオ、または5.1chの音声信号をそのHDMI ケーブルを通してYAS-207に対して出力」し、「その音声信号を受けたYAS-207は、ステレオまたは仮想5.1chサラウンドとして信号を処理しスピーカーから音声をだす」ようです。さらに「YAS-207は、dts:VirtualX技術を利用して、ステレオ信号または5.1サラウンド信号をベースに、擬似3Dサラウンドも実現させている」ということのようです。
HDMIケーブルは、単に接続機器間のデジタル映像信号音声信号の伝送だけでなく、接続機器のスペック情報のやり取りもしているようです。